今回のテーマは、「アサーティブ」です。
ちょっと聞きなれない言葉ですね。
この言葉を、はじめて耳にされた方も多いのではないかと思います。
アサーティブとは
まずは、言葉の定義から。
相手の立場や権利を侵すことなく、自分の意思、感情、権利を抑圧せずに表現すること
かんたんに言ってしまうとアサーティブとは、自分の欲求や意見を、相手の権利を侵害することなく、誠実に、率直に、対等に表現することです。
※アサーション(Assertion)と表されることもあります。
責任を伴った主体的な自己主張・自己表現、及び、交渉の方法論として欧米を中心に、広くマネジメントの場面を中心に取り入れられてきました。
自己表現のタイプ
例えば、仕事が忙しいときに、上司から新たな仕事を頼まれたとしたら。あなたは、どんな反応をしますか?
(a)「無茶言わないで下さいよ、もうこれ以上仕事できません!」
(b)「…わかりました。(そんなの無理だよなぁ…)」
(c)「わかりました、でも今忙しいので時間かかりますよ」
(d)「すみません、今忙しいのですぐにはできないんです。明日であればできるのですが…」
さて、どの受け答えが、あなたと近かったでしょう?
アサーティブ・コミュニケーションでは、それぞれを次のように定義しています。
(a) 攻撃型 | 相手を配慮せずに、自分の気持を伝える |
---|---|
(b) 受身型 | 相手を配慮して、自分は我慢する |
(c) 受身的攻撃型 | 相手に従うふりをして反抗する |
(d) アサーティブ | 相手を配慮しながら、自分の気持を伝える |
どのコミュニケーションが、より良い人間関係をつくれるか、明らかですね。
(a)は、相手を嫌な気分にさせる可能性があります。
(b)は、自分の感情を閉じ込めてしまうため、それがストレスになってしまう可能性があります。しかも、場合によっては、頼まれた仕事が終わらずあなたの評判を落としてしまうかもしれません…
(c)のケースでは、相手を嫌な気分にさせた上に、仕事が終わらなかったら…?!あまり想像したくない状況です。
それに対して、
(d)は相手の気分を害すこともなく、自分の言いたいことを伝えるWin-Win のコミュニケーションといえます。
ちなみに…以前の私は(a)あるいは、(c)が多かったと思います。
どうも、攻撃的な性格だったようです。(^-^;;
Win-Win のコミュニケーション
私たちには、自分の気持や要望を伝える権利があります。
ただ、そのとき、相手の権利を害さないことが大切でした。
ここで、そのために注意したい表現のポイントをいくつかあげてみます。
「事実+要望」を伝える
例えば、
×:「会議に遅れるなら事前に連絡しろよ。」
ではなく、
○:「君が遅れたので、時間通りに会議がスタートできなかった(事実)。次回からは遅れる場合には事前に連絡をして欲しい(要望)。」
というように、事実+要望 で伝えたほうが、相手も受け取りやすいメッセージになります。
他にも、今までご紹介した以下のスキルを使うのも効果的です。
自分の気持や要望を伝える権利があること、そして、相手にも同じ権利があることを忘れないで下さい。
アサーティブを実践してみましょう
次のことを実践してみましょう!!
- あなたの自己表現のタイプはどの傾向がありますか?それを意識しながら、”アサーティブ“な表現を心がけてみてください。
アサーティブな表現、心がけてみていかがだったでしょうか?
私自身は、アサーティブな表現をすることで、人と衝突することがとても少なくなりました。
元々私は攻撃型の人間でした。
コミュニケーションを学ぶ前は、人を説得する、人に言うことを聞いてもらうためには、圧倒的な威圧感を示すか、論理で言い負かせることが必要だと信じていました。
確かに、それも1つの方法ではあるのですが、労力を使うわりには、あまり効率が良くはないのです。
以前こんなことがありました。
会社の後輩と、銀座の外れにある焼肉屋に行きました。
そのお店では、上ロースは前もって予約をしないと注文することができません。
しかも、人数の1/2が上限。6人でいったら3人前しか注文できないのです。
後輩のYさんにお願いして、店と上ロースの予約をしてもらいました。これで準備は万端。後はお店に行くだけです。
ところが…
店で上ロースを注文したところ、こんな返事が返ってきました。
「すみません、上ロースは品切れです。」
「え、予約お願いしましたよね?」
予約をしてくれたYさんは驚いた顔で、こう言いました。なぜか私たちの上ロースの予約が入っていなかったようです。
残念ではありますが、物理的に無いものはしようがありません。
正直、心の中では「むっ」としていたのですが、後輩がみている手前、あまり変な態度もとれません。
何より、Yさんがそんなミスをするとはどうしても思えなくて、店員さんにこう伝えました。
「わかりました。何かしらあって、予約がうまく伝わってなかったのかもしれないですね。ただ、みんなこのお店の上ロースを楽しみにしていたのでとても残念です。次回からは、こんなことが無いようにしてもらえたら嬉しいです。」
それからしばらくして、店員さんが再び私たちのテーブルに現れました。
「他の支店に余分に上ロースがありました。お時間をいただければ、そちらから取り寄せさせていただきます。」
私がもし…
以前のように攻撃的な態度をとっていたら。おそらく、この時、上ロースを食べることはできなかったと思います。
アサーティブに伝えたからこそ、店側も私たちのためになんとかしようと動いてくれたのだと思います。
たかが焼肉のことではありますが、ちょっとした言い方で、相手の反応は変わるだなぁと実感させられた出来事でした。
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