今回のテーマは「伝達のレベル」です。
コミュニケーションを交わす中で、私たちの言葉がどのように伝わっていくかを考えてみましょう。
伝達のレベル
人がモノを購買にいたるまでのプロセスには、
「認知」→「理解」→「共感」→「行動」
と、いう流れがあると言われています。
そして、人が何かしらの言葉、メッセージを受け取る場合にも、実は、これと同じことが起こっています。
例えば、上司の鈴木さんは部下の加藤さんに、PMP試験を受験して欲しいと思っています。鈴木さんから話しを聞いた加藤さんの中ではどのようなことが起こっているのでしょうか?
Level1 | 認知のレベル。まだ、理解までは至っていません。 「ふ~ん、PMPという試験があるんだ」 |
---|---|
Level2 | 理解のレベル。頭で理解をするレベルです。 「なるほど、PMPというのはプロジェクトマネジメントに関する試験なんだな…」 PMPがどのような資格であるのか、どのように受験するのかなど理解をするレベルです。 |
Level3 | 共感のレベル。気持が動くレベルです。 「確かに、鈴木さんが言うとおりだ。将来のことを考えるとPMP受験も必要かもしれないな」 加藤さんは、鈴木さんの意見にそのとおりだと感じています。 |
Level4 | 行動のレベル。 「PMPに合格したら、インセンティブが貰えるらしい。頑張って受験してみよう!」 自分にとっての意味づけができ、具体的な行動に移ります。 |
例えば、こんな感じで加藤さんはPMP受験をするという行動へと移っていくのです。
コミュニケーションの目的を考える
友人との雑談をする場合は、Level1でも十分かもしれません。
友人の相談にのる場合は、Level3の共感まで必要かもしれません。
企業のトップが、全社員に対してスピーチをするケースを考えると、Level2理解をしてもらえれば良いのかもしれませんし、あるいは、Level4何らかの行動を起こすことを期待しているかもしれません。
親友の結婚式のスピーチであれば、Level3の”共感”を狙ってお涙頂戴といきたいところでしょうか。
このように、相手に何かを伝えようとするとき、自分がどのレベルまでを求めているのか明確にすることも大切です。
つい先日、某企業のセミナーに参加してきました。
その中で、あるシステムの説明があったのですが、大変失礼ながら、非常に退屈で眠りそうになってしまいました。
システムの開発経緯からはじまて、画面を1つ1つ説明していきます。気持はよ~くわかるのですが、システムをはじめてみる私たちに、それを全て理解しろといわれても無理な話です。
それよりも、使用する際のイメージであったり、そのシステムを導入する上でのメリットを具体的に説明してもらえたら、もっと興味関心をもって聞くことができたかもしれません。
この企業の人たちの本来の目的は、システムを購入してもらうこと、
つまり、Level4を期待していたのだと思います。
とろが、彼らはLevel2の“理解”を重視しすぎていました。
Level3の“共感”が抜けてしまっているのです。
(しかし、残念ながら情報が細かすぎて理解することさえできませんでした。)
残念ながら私たちは”理解”しただけでは、なかなか行動に踏み切ることができません。
”共感”して、かつ、”自分への意味づけ”ができてやっと行動に移ることができるのです。
ちなみに私もそうでした。
エンジニア時代、機能を丁寧に説明することが良いことだと思っていました。
「なんでお客さんはわからないんだろう」と不思議に思っていました。
エンジニアでなくなってから数年…
そうなってみてはじめて、このことを理解することができました。
今回は、伝達のレベルについてお伝えしてきました。
次回は、さらに詳しく、伝達のレベルをみていきたいと思います。
実践!!
次回までに次のことを実践してみましょう!!
- 日々の会話の中で、伝達のレベルを意識してみましょう。Level2、3、4を実現するためには、何が必要なのかもあわせて考えてみてください。
意識してみていかがだったでしょうか?
そして、Level2、3、4を実現するためには何が必要なのでしょうか。
私がSEだった頃。
「プレゼンテーションがもっと上手くなりたい」と思っていました。
説得力を持つために、人を動かすために必要なものは、論理的に話すことだと信じていました。
変な話ですが、
当時は、結婚式のスピーチでさえ…
論理的に話すことができれば上手くできると考えていたんです。
数年前の春のこと。青山のレストランで、友人の結婚パーティが開催されました。
招待客の中に、1人のフランス人女性がいました。
新婦がフランス留学をしていた時の友達です。
式が始まって1時間が経過した頃…
新郎新婦の友人達のスピーチが始まりました。
ユーモアあふれるスピーチ、ちょっと緊張した様子の人。
さまざまなスピーチがありましたが、一番感動したのは、フランス人女性のものでした。
彼女は両手に小さなメモをもち、たどたどしい日本語で一言一言、スピーチを読み上げていきました。
「○○と、わたしは、ふたごのしまいです。だいじなだいじな、わたしのともだちです・・・」
気がつけば、ザワザワとしていた会場は静かになり、みんなの視線が彼女に集中していました。
決して上手いスピーチではないのに、涙があふれて止まりませんでした。
友人の結婚式のために、はるばるフランスから日本まで来た、彼女の新婦を大切に思う気持が私たちにも伝わってきたのかもしれません。
そのとき、感情は伝わるのだと気がつきました。
どんなときに感動するのか、
どんなときに思わず行動してしまったのか。
それを振返ってみると、その答えは出てくるのかもしれません。
コメント
[…] ⇒ 伝達のレベル […]